S学院のオルガン 移転・改造

III 現場での組立 2


 風箱、吹子が鉄骨に乗り始めている。
風箱には毛布を掛けてほこりが入るのを防いでいる。

低い位置の風箱はPed.
中央の風箱はBW
その左右の風箱はHWのC側とCis側
3人が作業しているのは空気溜め吹子。

 Cis側の側壁、従来は20mm厚の合板を木ねじで繋ぎ合わせただけの構造であった。 木工芸としても恥ずかしい作りであった。

正面のパイプとそれを留めている木製枠構造を支えるには強度に不足する。 また礼拝堂に入ってくると目に触れる部分である。

 新たに枠組み構造で側壁を作った。 この部分は全て接着している。 強度的にもずっと安心できる。

 左は1段目と2段目を接着しているところ。

 SWの風箱を載せたところ。
このオルガンで最も重たい部分であった。
天井までの吊り代が少ないため、玉掛け作業と、手順の確認には手間取った。

 前記の風箱を吊り上げるために、ローリングタワーの後部にバランス重りを載せるように組んだ。

 国産最大のオルガンである宮崎県立芸術劇場のオルガンを組んだ時にもローリングタワーにこの仕掛けは必要ではなかった。 ぶな材製の合板ばかりで作った風箱は異常に重い。 C側、Cis側分離することもできたはずであるし、それよりも設計者が考慮をすれば容易に軽く作れたはずである。 設計と現場の連携が無くなってしまった大きなオルガン工場の問題であろう。

 Pedal C側のProspekt枠を取付けているところ。 吊り代が不足するためにウィンチの滑車がProspekt枠の側面にくるようにしている。

 接着など、固定して安定するまで吊った状態で作業ができるようにしている。

Cisがわ 側壁
下から3段目を接着固定している。

 C側側壁の最上段を取付け終わったところ。 作業に行けるように足場を作ってから作業に入る。
木製の梯子は傷を付けることなく、締め具でオルガンに固定できる。 アルミ梯子などではこのようなことは出来ない。

 大きな組み立ての場合には梯子を多数作り持ってゆく。

 HWの低音部の演奏感触の悪さの最大の原因であった回転軸機構部分。 アルミ丸棒を使っていたが強度不足であった。 新しく鉄パイプで作りなおした。

 使用略語
HW  Hauptwerk 主鍵盤部     I 鍵盤
SW  Schwellwerk スェル鍵盤部 II 鍵盤
Pos  Positiv ポジティフ部     III 鍵盤
Ped      ペダル鍵盤部


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Angefangen 15.Nov.2003