鉄骨の下にあるのはインバーター。 送風機の回転数を自在に変更できる。 OMRONの製品を使った。 風がたくさん消費されてMagazin吹子がつぶれてくるとセンサーが作動して、インバーターは送風機の回転数を上げる。 頻繁に上げ下げを繰り返さないようにセンサー部分にはメカニカルなヒステリシス装置を設けている。 |
HW C側の調律台から背面下を見る。 右がMagazin吹子 送風機は上へ移動したため、元の送風機から風受け穴は塞いである。 右上には蛇腹部分の革が一部見えている。 整音を進めるにしたがい、従来よりも風量をかなり多く消費することがわかってきた。 これには、かなり苦労をすることになった。 非常に貧弱に整音されている音栓が多かった。それぞれを存分に鳴らしてやると当然風を多く消費する。 Subbass16'などはおそらく従来の倍は風を使っていることであろう。 左下にあるのは自記温湿度計。 |
建築の壁は、現在の建築のほとんどがそうであるように石膏ボード貼りであった。 移設・改造の記念にこの作業に使った図面の標題部分を貼り付けて残した。 |
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上はBWのために新設した蛇腹型吹子。 |
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音栓メカニズム 画面右上に演奏台の音栓つまみがある。 左上方向がCis側の風箱。 右下方向にはC側の風箱がある。 |
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作業が進行中の間も、使える音栓を使って学院の朝の礼拝が行われていた。 日々新たな音栓が使えるようになってゆく姿にオルガニストは喜んでくださった。 以前は整音がひどくて使えなかった音栓が新たな音色で美しくなってお目見えした時など、喜んでその日の礼拝に使って下さったりする。 礼拝の間は外のロビーで朝食を摂っていた。 後奏の直前に礼拝堂に入って聞かせていただいた。 自分でも日々オルガンが充実してゆくことを実感できる嬉しい時であった。 嬉々として弾いてくださる姿は嬉しいものである。 |
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どれほど努力してもすでにある楽器を改良できる範囲は限られている。 力及ばずあきらめた部分もある。 自分でもまだ不満な部分は多々有るが、どこかで線を引かなければならない。 時間も限界になってきた。 『時間が足りなくなるのも才の足りないうち』ということも事実である。 作業が終わって、殆ど片付けが終わった。 最後の日はやはりすることがたくさん残っており大変であった。 しかし、肉体的にも精神的にも、また特に思考努力的に苦労が多かった作業であった。 実りはあったと実感できる仕事ができた。 オルガニストの皆さんも学院の方々も以前とは比較にならないほど改良されたことは認めて下さっていた |
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今回の作業、解体したオルガンに何点の部品があるのか、優に万の単位であろう。 作業中に壊れた(壊した)部品もあったが全て修復。 現場で組立に入ってからどうしても見つからなかったのはただ1点、左の画像の白い木材の部分 SWのスエル扉を動かすメカニズムの受けだけであった。 部品が何万点あろうとも、オルガンは非常に論理的に構成されている。 そのオルガンの論理を理解してしまえば、ジグソーパズルよりはよほど確実に組み立てられるのだ。 |
使用略語
HW Hauptwerk 主鍵盤部 I 鍵盤
SW Schwellwerk スェル鍵盤部 II 鍵盤
Pos Positiv ポジティフ部 III 鍵盤
Ped ペダル鍵盤部
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Angefangen 15.Nov.2003