日付:7月15日 この内容は本日行った作業です。

Montre 16'の整音を続けています。
ここの建物は低音の響きが非常に不足しています。 このオルガンを作った時にはあまりにも低音が鳴らなくて苦労したのを覚えています。 不満が残ったままでした。 見た目には美しい建築の内装もつくりによっては低音の吸音材としてしか働かないのです。

その後、日本の音響空間での経験・観察と考察の蓄積、によって このような状態に対応する方法も見えてきました。
吹子を改造するのもその一環です。 もちろんパイプのより良い整音法も効果的な音の放射に寄与します。

写真

画像はMontre 16' Cis パイプの歌口です。 歌口の高さを少し(2.5mmほど)あげています。 Kern(下唇の奥にある水平な板、パイプ胴部と足部を仕切っている、下唇との間に風の道を構成する)の正面に2箇所キズがあるのが見えています。

長い年月の間にKernが自重で下がったものを修正した痕です。

ノミを当ててKernを前面からほんの少し(このパイプでは0.2mmほど)上げました。
低音のパイプでは風の圧力でKernがほんの少し動いてくれると発音が非常に楽できれいになります。
耐久性とは相容れないことなのですが。 このパイプは耐久性のほうが優先した作りです。 それでも20年ちかい年月の間にはこのようなくるいを生じるものです。

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