宮崎県立芸術劇場オルガン 組立の記録

内部: パイプ 送風 など 取付け 2


 オルガンの裏にある別室
    送風機室 の内部です。

オルガン専用の送風機 4台
普段は2台を運転、風が消費されて吹子が下がってくるとさらに2台を運転するようにしてあります。 ここにはメカニズムと電子回路の組み合わせを使っています。

貯風吹子4台、1台がほぼ一畳の大きさ。 2台を一組として使っている。

操作用高圧空気を作るコンプレッサー

配電盤があります。

 ホールの空気を吸気して、湿度や温度が異なる空気は取り入れないようになっています。

 ホールからの空気はこの部屋の手前にある吸音室を通って送風機室に入ります。 送風機室の騒音はホールでは全く聞こえません。

 Hauptwerk には3台の風箱を使っています。 これは 中高音部(fis-g''')の風箱です。 パイプ台の下にはスライダー(音栓選択に使う滑り弁)が見えています。

 右に見えているのは 音程弁(鍵盤に繋がる)点検用の蓋です。 この楽器ではリモート演奏台からの演奏のために補助装置が入っています。 その動作を観察するためにガラスを入れています。

 音程弁部分、蓋を開けて撮っています。 下にリモートコンソールからの信号で弁を開くための小吹子(こげ茶色の皮革)が見えています。

 この部分はいずれ必ず風化するので交換を考えに入れて作っています。

 この仕掛けは低音部では、鍵盤が重くなりすぎないように補助する役目も受け持っている。

正面のProspektパイプへは画像のような配管で風を送る。 一度全てのパイプを設置して風箱が完璧であることを確認した後にこのような配管をする。

 これはHauptwerkのC側低音部の風箱。
右に見えている金属管は水平トランペットの低音部、さらにその向こうには正面のパイプの足部分の裏側が見えている。 これはHW Principal 16' の低音部。

 左には4段の階段が見えている。ここの上にはHauptwerkの高音部の風箱がある。 低音部は温度変化に対して音の濁りが少ない、反面高音部は温度変化に敏感である。 Schwellwerkのパイプの位置に近づけて温度の差が多くならないように配慮している。

 正面のパイプ群はイギリスの金属管製作工房 F.J.Rogers から現場作業にあわせて発送してもらった。
 現場へは40フィートコンテナで到着。
毎日使うわけではないので、前日借り出したユニック付きトラックで大淀川河川敷に行って練習をした。 新築のホールの建築の下、吊り代が30cmほどの余裕しかないところに降ろすので緊張した記憶がある。

 始めてみれば何と言うことはないのであるが・ ・ ・

 16'のPrincipalが2列あり、荷降ろし開梱だけでほぼ1日以上かかった。

 太いパイプは寝かせておくと自重でつぶれてくる。 オルガンに入れておくのが一番安全である。

 開梱と同時にパイプをオルガンに固定する金具をはんだ付けし、吊上げる準備をする。

 この規模のオルガンになると、現場に小さな木工所を開くようなものである。

オルガンの横には道具棚を作りボール盤やグラインダー、その他の電動工具や手道具を整理した。

写真提供 小泉 匡


前のページへ  須藤オルガン工房TopPageへ 次のページへ

宮崎芸術劇場オルガン 組立の記録目次へ