宮崎県立芸術劇場オルガン 組立の記録

工房での組立・準備 1


工房で、できるだけ準備をします。
とは言っても宮崎県立芸術劇場のオルガンほどの大きさになると、小さな工房ではとても全体を組んでみることはできません。 部分部分で組立てて、現場での作業量を減らすようにします。

 

 工房で風箱の上に取り付ける。
大きいパイプ(4'の大文字F程度までの笛)はLehne(背もたれ)に固定する。

 小さいパイプはRasterと呼ばれるパイプの足をはめる、丸穴があいた板で固定する。

 いずれも、パイプの自重で足がStock(パイプ台)の穴に乗らなければならない。 調律でパイプが揺れても必ず元の穴に落ち着かなければいけない。 さもないと調律のくるいとなってしまうからである。

これはPedalのC側のWindlade風箱。
立っているのは、Octavbass8' と
手前はPedalのMixtur

 このオルガンでもっとも小さなWerk Echowerk(第4鍵盤部)の風箱、これで全て。

 オルガンの裏の見えないところに位置して、他の鍵盤に対してEchoのように遠くで鳴る感じを出す。

 実際には想像したよりも明瞭に聞こえることに驚いた(音の到達距離はずっと長いにもかかわらず)。

Pedalの風箱、一番上の画像の反対側から見ている

組み立て中の演奏台。

HW,SW の風箱はは低音部がC側とCis側に分かれているため、メカニズムも斜行する(真っ直ぐ進めてWellenbrettを用いる方法もあるが、Welleのたわみが演奏感覚に悪影響を与える)。
 そのために低音部18音は交互にC側、Cis側に向いて斜めに演奏台から後方を目指す。 Winkel(直角てこ)の配置はやっかいになる。

 手鍵盤のKoppel(鍵盤連結装置)は手鍵盤の上に、手鍵盤−Pedal のKoppelは手鍵盤の下にある。

 鍵盤の下部にある 手鍵盤−Pedal のKoppel の仕掛け。
演奏台裏側からの撮影、低音が向かって右側になっている。 PedalのKoppelは30音だけなので、右側にメカニズムが寄っている。


 Pedal鍵盤の幅を手鍵盤のメカニズムの幅に変換するWellenbrettが理解しやすい。
このWellenbrettは一般的には前側に作る。 非常に保守が行いにくい。
後ろ側に配置する方法はすでに十数年使っているが、良い結果を得ている。

15.Aug.2003

写真提供 小泉 匡


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