歌口部分は円弧の一部を平らにしてLabiumを形成するので他の部分とは異なった円弧に変形している。
Unterlabium(下唇)があるパイプ足の形状が先に決まるので胴部はそれに合わせる必要がある。
形を整えて足との接合の準備をしている。
パイプ足と胴をまず、3箇所半田点付けをして、芯出しをする。
3点を仮に点付けしたところで、パイプをコロ台の上で回転させて足の芯が出ているか点検する。
回転させて足の先端の振れが大きい場合には、半田点付けを切って修正、再び半田付けをする。
再度回転させて点検 ・ ・ を 繰り返す。
足が付き、内部の補強が終わってから Oberlabiumを取り付ける。
Oberlabiumもパイプの強度の一部であるから確実に半田で接合しなければならない。
ゆがんでしまった歌口付近を切り取ったため、パイプは短くなっている。
上部に長さを追加する準備をしている。
材料には、半田付けに際して半田の不要な流れを止めるための塗料が塗ってある。 本来は全てこのように塗料で作業をしたかったのであるが、このパイプは表面に透明ラッカー塗装がしてあったためにそれが出来なかった。パイプ胴の円周を紙テープで採寸し、それを新しい材料に当てて周を合わせる。 このように作業すれば金属の厚みを考慮しなくてすむ。 π=3.14 を使うよりも現実的なのだ。
今まで使われていた調律スリットは閉鎖して継ぎ足しの準備をしたところ。
継ぎ足しに備えて内部にも塗料を塗ってある。 内部に塗料を塗ることによって、熱が伝わりすぎても抜け落ちにくくなる。
継ぎ足しの準備ができたところ。
先ず、継ぎ足し部分を点付けで位置決めする。
誤差はパイプ背面に寄せて前面を正確に合わせるようにする。 少しでも合わないときには点付けを切ってやり直す。
継ぎ足しの半田付けが終わってから塗料を拭き取る。
熱い風呂に入れると楽なのだが、この大きさのパイプではそれも出来ない。 丹念に拭き取るしか方法がない。
半田付けした継ぎ目を丹念に削って平らにする。
削り終わったところ。
手前の塗装部分と、金属光沢が明瞭に判ってしまうのは残念だ。 Casavantに塗料について問い合わせたが、何の反応も来なかった。
整形前
整形後
無事に作業は終わった。
とは言え、油断は禁物。
まだ運送とオルガンへの吊り込みがある。パイプ支え金具も位置が変わったので新たに付けなければならない。
このオルガンでは支え金具に入る鉄のピンが溶接してある(普通は木製のパイプ支えに鉄のピンを打ち込む)ため、ピンの位置はすでに決まっている。面倒ではあるが、Disだけはオルガンに吊り上げて定位置に立て、方向を定め、支え金具の位置を記し、再びパイプを下ろさなければならない。 そして支え金具を取り付けてから、再度吊り上げて取り付けるという手間をかけなければならない。
パイプが垂直のままでは半田付けができないので、このような面倒なことになる。
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Angefangen 17.Feb.2004