日付:7月28日 この内容は本日行った作業ではありません。

23日にカタリナ学園を発ち、宮崎県立芸術劇場でのニューヨーク シンフォニック・アンサンブル 高原 守る指揮の演奏会に行ってきました。 オルガンを使うのは アルビノーニのアダージョともう一曲だけで
オルガンはほんの少ししか出番がなく、気楽に出かけたのです、が、、、

水平トランペット用の高圧送風吹子(200mm水柱)から空気が漏れるとのこと。 革がはがれているとのことで、これまた接着すれば直ると気楽に考えていました。 ところが、革のはがれは相当なもので蛇腹板の位置までずれてしまっており、一部は革が相当な幅に渡ってはがれていました。
幸い、今回の演奏会ではこの部分は使わなくて済みます。 その点は落ち着いていられました。

基本的には、空気の圧力に対する強度の認識が甘かったことに起因します。 何らかの外力か、重りのアンバランスかが原因となって徐々に革がはがれてきたのでしょう。

革を貼りなおしても再発する可能性があります。 それなりの補強を施さなければなりません。
補強にはホールにあった木綿の布を裂いて使用することにしました。 革は従来のものを再利用する以外に方法はありません。
あとは時間配分です。
 演奏会前にこの吹子を外し、演奏会中にオルガン背後の送風機室(防音処置がしてある)で修理作業、演奏会の休憩時間までに修理を終わり夕食(休憩時間でないと、ホールの正面なので出られない)に出かけ、演奏会終了と同時に取りつけ調整をする。 ということにしました。

写真

最初の画像は、修理前の吹子、BrustWerkの上、Glockenspielの前にあります。 革の貼替を意識して設計していますので取り出すのはさほど大変ではありませんでした。

後の画像は木綿布で補強を施している状況です。 屏風の折れ曲がるところと同じ方法で布蝶番にしています。 この方法ですと蛇腹板にかかる中から外への力にも、外から中にかかる力にも対応できます。
必要な部分だけ革を湿して接着をはがし補強をしている様子が見えると思います。

このレベルの修理ですと普通でしたらば定期調律保守のときまで待ってもらうのですが、ホールのオルガニストが次の講習会で子供達に是非聞かせたかったのに・・・というので演奏会中の修理を決心したしだいでした。 それには、鍵盤押しで来てくれた宮崎大学の学生さんが遅くなっても手伝ってくれたこともありますが、ホールのオルガニストの人柄によるところがおおきいものです。

私も人ですから、普段から私のオルガンを大切に思ってくれるオルガニストには無理をしてでも希望に添うように努力する気持ちになります。

顔を見せることも無く『メンテナンスに来てオルガンがいつも良好な状態にあるのがあたりまえ」のような態度のオルガニストには自然とそれなりの対応をするようになってしまうものです。

宮崎からはしばらくぶりに帰宅、工房でカタリナ学園で使用するものを工作、8月8日に宮崎県立芸術劇場で行う「木管製作講座」の準備・発送 などをして先ほどカタリナ学園に帰着しました。

明日は湯布院音楽祭に大分まで出かけなければなりません。 またお休みをいただくかもしれません。

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