カメラ・光学器械工作 1


4x5 カメラ調整用ピントグラス

 このページ一番下にあるホルダー改造のピントグラスは撮影には便利である。

6x6(Hasselblad用)のフレンネルレンズの付いたピンとグラスが手に入ったので4x5中央部で合焦を正確に観察するためのピントグラスを作って見た。

中央部にスプリットプリズムが付いたタイプも試したが明るさと視線の位置によって見にくい時がある。 結局中央部(何と言うのか知らない)に細かいプリズムが付いているタイプ、ボケると2重に見えるタイプ、を採用した。

試したところ、ルーペで観察する時には単純なマットガラスの方が細かく観察できそうである。
フレンネルレンズの円弧や細かいプリズムが見えてしまい案外細かくは見えない。 肉眼あるいは倍率の低いルーペで合焦を見るには楽になる。                 Jan.07

 袋蛇腹

建築の撮影には大型カメラを使うことになる。 オルガンの撮影も同様。

大型カメラに広角レンズをつけて撮影する時にあおり(レンズとフィルムの位置関係を動かすこと)を掛けると通常の蛇腹では動き量が蛇腹に制限されてしまい、必要なだけあおることができない。

 形は蛇腹ではないが、通称「袋蛇腹」と称するものを使う。もちろん市販品もあるが、そこはやはり作らないと済まない性分である。 作りたいと思いながらすでに20年は経ってしまったであろう。 袋蛇腹を作ってから撮ろうと思い、まだ撮影していないオルガンも何台か残っている。

枠は4mmのベークライト、光線漏れの心配は無いので色はそのまま。
袋はグラフィックデザイン関係で使う引き伸ばし機に使っていた暗幕を裏表に2層にして使っている。
表布の縫製部分には1mmの黒フェルトを挟んで縫っている。 ミシン目から光線漏れを防ぐためである。 裏にもう1層接着で追加している。

左の画像は一般の方には何やら不可解かもしれない。これはスーパーカンボというカメラです。 袋蛇腹を取り付けた状態。普段はここまで前上げを使うことは少ないが、こんなこともできますという例。 頻用するのは Superangulon 90mm。
どうやら、沈みレンズボードは作る必要が無さそうである。

この4×5カメラは価格が手に届くので20年以上前に購入した(本当は作りたかった、オルガンでは前上げができればほぼ問題ないので工作は比較的楽)。 安価なだけあっていろいろ問題があり、調整や改良を施して使っている。

                              Dez.06

 A1の改良型試写パターン。 ほぼ4x5フィルム全域を撮っている。 どうやら下記の初期パターンに出ている周辺部の歪曲は紙のゆがみのせいだったようです。訂正。
右側が現像タンクの上、上方中央から下(画面の左)に向かって現像液注入時に液が流れたムラが出ています。
右側が暗いのは現像液不足があったためでしょう。 開いて見るわけにはゆかないので想像です。容量はきちんと計って入れたのですが。
左下の明るいところは窓から夕日が差し込んでいたためで、現像ムラではありません。 拡大画像

YASHICA120改 と 4×5 現像タンクその後

 試写と現像を何回か繰り返してみると問題点がいろいろと浮かび上がってくる。
手持ちで撮影するには距離計の正確さを上げなければどうしようもない。距離計の反射鏡を動かしているカムはこのカメラの元々のものをそのまま使っても良い理屈だと思うが、それがどうもそのようにゆかないようである。

現像ムラの発生は単純、注入時に現像液が上からフィルム面をなぞった領域の現像が、注入に時間が掛かることと相まって、進んでしまうためであった。その後、下記のように解決した。

 YASHINON F 4.7 127mmはその後分解してレンズを清拭。
古いレンズにありがちな、低速シャッターの切れが悪い現象を修正(ガバナーを超音波洗浄、注油)。
元になったカメラは計3台持っているので、3つのレンズを分解してみた。 二つは現在完動状態にある。
残る一つでは、ガバナーの中の2つの歯車が接触して動きが止まってしまうことがある。 ガバナーも分解したが、修理はかなり困難そうである。 時計を扱う技術が必要になりそうだ。

                               Dez.06

攪拌時に現像液の遊動によってフィルムが溝からずれて隣のフィルムと接触してしまうことがあった。下の画像のような櫛歯を上下に設けて安定させた。
画像の中のフィルムはもちろん不要フィルム。

4×5フィルム用 現像タンク

 4x5 フィルム用の現像タンクは市販品が非常に少ない。 自家現像ができれば、モノクロ撮影をずっと気楽に楽しめる。そうなれば現像タンクを作るしかない。

10mm厚のベークライトがあったのでこれを使った。 組立はエポキシ接着剤。 いろいろ考えたが、液の注入は上から、排出は下からするようにした。それぞれの外部に繋がる口は、光線漏れを防ぐために迷路になっている。

黒塗りする前にテスト現像を行った、これで問題がなかったので黒塗りを行えば完璧であろう。

1回に6枚(無理をすれば12枚)までのフィルムを現像できる。液量は860cc。

その後改良

現像液の注入孔を側面に設け、注入・排液時間を短縮した。
結果は上々であった。従来の注入孔は通気孔としての役目になった。 容積増加に伴い薬液は950cc必要になった。
                            Dez.06


試写パターン、開放絞りで撮影
実際は左上が画角の隅、右と下は画面の2/3程度のところ。 左上にはかなりの収差が見られる。現像ムラは御容赦を!
CADで製図、いずれグレースケール入りで画面全域をテストできるパターンを作りたい。


試写
現像は上記の自作タンク使用
期限切れTXP D-76 1:1希釈12分
無限遠粗調整時の撮影

YASHICA 120 POLAROID PATHFINDER 改 携帯形態

すでにお判りのとおり、このカメラはスプリングカメラである。

レンズを収納して閉じた状態は実にコンパクト、世界で一番小さな 4×5カメラかもしれない。
手持ちで撮影することになるであろう故、現在はTri X(320TXP)を多用している。

銘板は 小泉君の労作(手作業でエッチング)
 形式 須式寫眞儀120型改
 所属 須藤風琴工廠横須賀製作所
 製作 須藤 宏  と記してある

今後の計画("倒れ"になるかもしれない)
・ シャッター開放を可能にする
・ 額縁型ファインダー(所謂 スポーツファイ
  ンダー)製作
・ 距離計の半透過鏡をきれいな鏡面にする
・ 小型トランクかアタシュケース改造のチェ
  ンジバッグ製作
・ 専用露出計の製作
・ 専用一脚の製作

息子のBlogに「改造熱重症患者」として掲載。

その後、同じ改造をしておられる先輩を発見しました。

                         Nov.2006

YASHICA 120 POLAROID PATHFINDER 改 背面

既に記した 4×5ピントグラスを取り付けた状態
撮り枠を押さえているのは燐青銅で作ったばね
オルガンのリード管に使うために持っていたもので工作した。

追加した木部は羊革で覆っている。
画面右側の軍艦部はプラスチック製であまり見栄えがしないが、致し方ない。

・ 一番上の四角い覗き穴はファインダー(パ
  ララックス補正はあきらめた)、これはフ
  ァインダー位置移動とともに、新たにあ
  けた。
・ 2番目の穴は、元ファインダー
・ 3番目の穴は、連動距離計
  ファインダーは撮影範囲を監査するため
  距離計は視野が狭いが距離を測るため
  LinhofのTechnikaなどと同様である

 連動距離計の半透過鏡はひどく汚れていたが鏡面は磨くと簡単に剥離してしまう。 ガラス面だけを磨き、鏡面はそのままにした。 観察すると、透過光が青みを帯びるので半透過鏡の鏡面は金箔のようである。 いずれガラスに金箔を貼って試してみたいと思っている。

 連動距離計の調整は初めてであったが思いのほか容易にできた。
二つの反射鏡が載っている台で粗調整を行い、そののち、最初の反射鏡で左右の微調整、半透過鏡で上下の位置合わせを行うようになっていた。

                         Nov.2006

YASHICA 120 POLAROID PATHFINDER 改 前面

 これが改造後の姿。

改造内容
・ ポラロイド用のバック部分を外す
・ 撮影枠の拡大
・ ボディー両端の不要部分の切断
  切断部分の処理
・ 延長蛇腹の製作・サイズ合わせ
・ 撮り枠(フィルムホルダー)取付の準備
・ 三脚取付雌ネジ2箇所の準備(元々のネジは
  削らざるを得なかった)
・ 合焦位置が撮り枠の厚み分ずれたため、レ
  ンズ位置を修正(無限遠で設定)
・ テスト撮影 光線漏れチェック(蛇腹接着
  部にわずかな光線漏れ発見)
・ 連動距離計関係のガラス、反射鏡の研磨
 (ひどく汚れていた) ファインダーレンズ
  の研磨 
  ファインダーの対物レンズはプラスチック
  製凹レンズであった
・ ファインダー部はボディー切断時に半分ほ
  どになっているので、新たにファインダ
  ーレンズを取り付ける開口を作り移設
  撮影範囲枠の確認
・ 距離目盛 合わせ
・ 連動距離計の調整、校正
・ 革ベルト取付金具製作、取付

                         Nov.2006

改造前

1960年(昭和35年)頃にポラロイド社の委託でヤシカが作ったカメラを手に入れた。
このカメラは本家のポラロイド社が作ったものよりもよほど作りが良い。また富岡光学(1924年創業、現在京セラグループ)製のレンズも評判が良い。

レンズ:YASHINON F 4.7 127mm
     絞りはなんとf90まである(ポラロイド感度
     がISO3200だったためか)

あまり売れなかったのか、カメラは短期間で廃盤になった。このカメラに使うポラロイドフィルムも製造中止になり全く使用できないカメラになっていた。

 写真家の土方健介氏の著書 「手作りカメラ工作法」でこのカメラが4×5カメラに改造できることを知っていたので気になっていた。
蚤の市で1台を手に入れ、改造を始めたが数年中断。 銀塩カメラから遠ざかって、4×5で撮影する機会も少なくなっていた。 その後さらに2台入手。
程度はまちまち。

フィルムが市場から無くなる前に改造を完成させようと思い立ち(忙しい時に限って始めたくなる)毎日夕刻の少しの時間作業を行った。

4x5 4×5(シノゴ)ピントグラス

 シノゴ(4インチ × 5インチ フィルム)のシートフィルムはフィルムホルダーにフィルムを装填して使う。

 そのフィルムホルダーを改造してピントグラスとした。 フィルムホルダーの中央の板(アルミ製であった)を切り出して、そこに透明ガラスを接着。 片側の面がフィルムの乳剤面と同じ位置にくるようにした。

 そして、撮影フィルムの代わりに製図用マットフィルムを挿入。 ここに結焦させる。 マットフィルムはいつでも交換できるので、各種の線を引いたマット面をいくつも準備できる。
次項の自作カメラの距離計調整のために作ったが、他にもいろいろ使えそうである。

                         Nov.2006


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