ようやく懸案のRecit(第三鍵盤部)の吹子が完成しました。 風圧が吹子の往行程と復行程で同じでないという現象は、吹子の動きに摩擦がある場合に発生することはすでに判っていました。 特に静摩擦係数と動摩擦係数に大きな差がある場合にはさらに悪い結果を生じます。 しかし、今回、摩擦は事実上無いといえるほどのメカニズムを高橋夫婦が工房で作ってきてくれたのに設置後の測定結果が芳しくありませんでした。 まさかと思ったのですが、実験の結果、ロープの内部摩擦(繊維間の摩擦)が原因でした。 滑車の周を回るロープが曲がるときの摩擦が吹子の動きを阻害していたということになります。 解決法としては 今回は 1 の方法は取れなかったため細いロープを使用しました。 鯛釣りに使用する釣糸を使用しました。 下の写真の左(または上)は吹子が閉じている状態。 右(または下)の写真は吹子が風をはらんで膨らんだ状態です。 この時重りはあがっています、そして安全ロープはたるんでいます。 何かの間違いで吹子がさらに風をはらむと吹子が重りを押してしまい、鯛釣糸にさらに荷重が加わり、糸を切る恐れがあります。 |
結果は往復両行程において、風圧の差はU字管では測定不能なほど安定しました。 多少危惧しているのは、重りを吊っている鯛釣糸の弾性が音に影響するかどうかです。 オルガンを鳴らしてみないとわかりません。 いずれにしても今までよりは良くなるだろうと期待しています。 何故ここまでして 蛇腹型吹子を重りで加重して使うのかと思われるかもしれません。 音楽的な結果が良いからにほかなりません。 その理由を挙げると どうしても蛇腹型吹子を使いたくなるほど、その経験は印象に残っています。 このように倒置型の蛇腹型吹子を実用にした例はほかで見たことがありません。 ひょっとすると世界で最初かもしれません。 今後もネオバロックの楽器を改良する場合に利用できることと思われます。 |