オルガンの経年変化の一例です。 歌口の下唇部分と内部の水平な板(Kern)が作る風が吹き出る隙間が中央部で膨らみ、平行ではありません。 18年前の私の技量でもこれほどの不平行を放置するわけはありません。 長い期間にこのように金属が動いたものでしょう。 このように風の道が広くなりますと、パイプの足穴とこの部分のプロポーションがくずれてしまい、一般的には風速が不足してパイプがよく鳴らなくなります。 足穴が十分に大きい場合にはパイプが鳴りすぎることになる場合もあります。 このパイプはきちんと鳴らなくなっていました。 |
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整音のくるいというのは、調律のくるいのように顕著には判りません。 しかし、人が作ったもの10年程度を目途に今回のような作業をすることが必要です。 パイプを製作するときに、整音結果を的確に予想できるとこのようなくるいは発生しにくくなります。 整音作業で金属を動かさなくて済むと、それだけもどりも少ないものです。 しかし、特に大きなオルガンではそのようなことは困難です。 |