工具のページ 7

オルガン製作ほど多様な道具を必要とする職業はないでしょう。
その多くは市販の工具です。 市販の工具が具合が良くない場合、あるいは手に入らない場合には、自作するか市販のものを改造することになります。 

『注文しに行っている時間にできるようなものは、自分で作る』  ことです。

ここでは、そのような工具あるいは機械類を「工具のページ1」 「工具のページ2」 「工具のページ3」 「工具のページ4」 「工具のページ5」 「工具のページ6」に続いて、いくつか公開いたします。


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リード整音台

 リードの整音は一般にその反り具合で行うのであるが、最近厚みの微調整が大切であると感じている。  また反り具合の調整にヘラを使わず小さなハンマーを多用するようになった。

 画像はリードを固定して作業をするための台である。 リード端が台の端に来ることができるよう、押えの位置は自由に選べる。 リード押えとこの台を机に固定するしかけは100円ショップで買ったF型締め具を加工した。

220mm長、60mm高、22mm幅 約2.5kg リードを叩く金台であり、削り台であり、カーブを見る定盤でもある。 32feetのリード(1回しか作ったことはないが)にも対応できる大きさ。

 特に削り作業の時は両手を使えるので工具の制御が楽で確実、そして能率も良くなった。

                  Jun.2007


短いドリル

 径10mmの短いドリル。 折れたり曲がってしまったドリルの刃などは決して捨てない。 特殊な刃を作る時には大切な材料になる。

折れたのかすでに短くなっている刃があったので、それを研磨して刃を付けた。ドリル刃は根元付近は強度を出すためであろう中心部がかなり厚いのでその部分も薄い砥石で削って薄くしている。 さらに軸を切断して短くし、全長48mmに仕上た。

買おうと思っても買えないものも、工夫で作れるものである。

                 Mai.2007

作業台

 小ぶりで移動が楽にできる作業台が欲しかった。 市販(国内には使えるもの皆無、ヨーロッパにも少ない)のもので適当なものが無いので作った。

 足は左右を楔で固定する、解体組立に道具は不要。
天板は息子がStockholmから個展のために彼が製作した家具を送ってきたコンテナに使ってあった15mm合板(多分白樺材)を積層した。 中央部30mm、前後は45mm厚。

 万力も自作。 左右のガイドレールはコピー機を捨てる時に分解して取っておいた16mmφの鋼棒。 ネジは捨てるというので貰っておいた24mmφ。
初めてこのような万力を作ったが、やってみれば少々手間はかかるが、出来るものである。 市販の木工用万力はほとんどおもちゃとしか思えない。

 この大きさだとTOYOACEの後に積んで、車内で工作をすることもできる。現場に運び込むのも容易。

 これからは活躍してくれることであろう。 まだ追加したい機能もいくつかあるが、差し当たり使い始める事とした。

画像をクリックすると大きい画像をご覧頂けます。ブラウザーの戻るボタンで戻ってきてください。

                  Mai.2007


溝切りバイト

 旋盤作業では各種切削工具を必要とする。 作業の内容にしたがって特殊な形のバイトを必要とする場合もある。 溝を掘る(小物であれば突っ切りにも)バイトは既製品もあるが廃品利用で作ってみた。

 14mm角の鋼材にフライスで溝を作り、そこにジグソーの使い古しの刃を嵌めている。 ジグソーの刃はハイスピードHSS鋼、当然金属加工には充分に使える。 その上ジグソーの刃は刃の部分が厚く、刃の後が多少薄く出来ている。 そのままで逃げがあるのでバイトとして使うにも助かる。

 ジグソーの刃としての役目を終えてからも再度役目を果たしてくれることになる。

 私の工房では 折れたドリルやタップ、使い終わったジグソーや金鋸の刃、などは捨てずに次の出番を待っている。

ミニ旋盤用にも同様なバイトを作っている。こちらは8mm角の鋼材に溝を掘ってジグソーの刃を取り付けている。

                 Apr.2007


底掘りドリル

29mmの穴の底を平にする必要が出てきた。 普通の木工ドリルであると中央に突起があり、周に罫引刃が付いているので 底は平にならない。

 予め木工ドリルで ある程度穴を開けておき、この刃で底をさらう。 逃げ角はかなり少なめにしている。

工具鋼の丸棒から削りだして刃を切り出し、焼きを入れている。
中央の突起がないので安定性に欠ける恐れがあるため、刃の開口は少なくしている。

                  Maer.2007



半田代取り工具

 金属パイプは半田合金なので、半田付けする際にはパイプ本体を溶かしてしまわないようにしながら半田付けを行わなければならない。

 半田が載ってはいけない部分は塗料(顔料+糊料+水)で覆い、必要な部分のみ塗料を剥がす。
画像の工具はパイプの端部の塗料を取る工具。 あるパイプ工房で使っていた工具をまねて製作した。

刃、ガイド刃、固定金具 から成る。
刃とガイド刃 は古い丸鋸の身を切り出して作った。
固定金具は、鉄の角棒をエンドミルでコの字型に削り出した後 開口部分に鉄材を銀鑞付けして製作。

下の画像は、作業の様子。
金属パイプの足部分の端面に塗料が塗ってある。工具のガイド刃をパイプの端面に当て、刃を側面に軽く押し付けながらパイプを回す。 刃が当たっている部分は塗料が削れて金属面が露出する。 削れる幅はガイド刃と刃の位置関係を決めれば一定になる。




                 Aug.2006

パイプ金属用鉋

 パイプを作るとき、パイプ材(錫鉛合金)の端面の直線を出すための鉋を作った。
日本の伝統工具の溝鉋から改造しています。
鉋の身を長くして直線を出しやすく、
幅を追加して強度を増し、
刃の角度はそのままでは金属に食いつきすぎて削りにくいので刃を立てなければなりません。 すでにできている鉋の刃を挿げ直すのは面倒なので、刃の裏の角度を研ぎなおしてしまいました。 鋼材部分が厚めであったため容易にこの方法が採れました。 裏刃は単に刃を押さえる楔としての役目しかありません。
底面は黄銅板を貼り、磨耗してくるいとならないようにしています。

元になった鉋は、確か淡路島の古道具屋で見つけた鉋類一箱の中にあったものである。
見つける度に集めておいた古工具は気楽に改造できる。 新品を購入してではなかなかこのような大胆な改造は思いつかないものである。

                 Aug.2006

鍛造押さえ鈎

 ちょっと説明が難しいが、作業台上の物を押さえる金具。 ヨーロッパの古文書の図版を見ているとしばしば出てくる。 現代ではF型クランプ【独】Schraubzwinge のように便利なものがあるが、昔はこのような簡単な物を使っていた。 作ってみると想像以上に使いやすい。

 不要になったコピー機かプリンターを捨てる時にばらして取っておいた径12mmの鋼の丸棒を鍛造して作った。
上の鈎部分は多少の弾力が必要なのでガスバーナーの炎で赤らめて平らに鍛造。 焼きが入るのを避けるため、自然冷却で仕上げてみた。

 使用法は至って簡単。 上の画像のように、多少大きめな穴をあけた板に通して材を押さえる。鈎の頭を叩くだけで固定できる。 板の穴の中で鋼の丸棒は食いついて止まっている。

 外す時には、鈎部分の肩を後から叩いてやれば、食いつきが緩んで押さえは外れる。

 F型クランプを使うより簡単で迅速に作業ができる点では便利な工具である。

 画像では、金属パイプの材料(錫・鉛合金の板)を削るための準備をしている。

               2.Aug.2006


プーリ側から、
Vベルトの緊張はモーターの自重のみで充分であった。
仮に指を挟んでも人力で逃れることができる。


送り側から。
  ローラーの直前に安全バーを起きたかったが、材料の挿入に障害になることが判明して手前に持ってきた。さらに膝で操作できる安全スイッチを追加したい。
左の小さなハンドルは、材料を送り込むときに補助的に被動ローラーを手で動かし送り込みを容易にするため。

電動圧延ローラー

以前から手動で使っていた圧延ローラーを電動化した。
金属パイプの材料を容易に必要な厚さにすることができる。

ローラーは捨てるコピー機から外した定着ローラー(熱定着式が主流であるが、このRicohのコピー機は圧定着式であった)を改造。

プーリーは自分で挽いた。 この大きさの物を挽くのはなかなか大変。 ドラムとの連結は元々付いていたスプロケットを利用した。 油浸材料(いわゆるオイルレス、注油不要)で出来ていたため、スポークの溶接は難しかった。なんとか付いているが、美しくない。
モーターは廃棄処分品を拾っておいた、Fuji電機の200W 40:1ギヤードモーター 未使用・新品。 付いていたスプロケットを挟み込むように木材を接着。 モーターの軸を分解して取り出し、その軸を使ってモーター側プーリーを両センター支持で挽き出した。
ブレーキ部は使わないので外した。
Omronのインバーターを使って回転速度と方向を変えている。 停止も電磁制動で0.5秒に設定。

圧延厚さ決め は左右のネジをチェーンとスプロケットで繋いで同時に変化させている。

送り込み側の木製バーは安全装置になっている。危険な状態の時にはこの木製バーを押すことによってローラーは逆転する。

購入したのは、A-80 Vベルト2本とインバーターくらいで、他は自作か廃品から取り外したものばかり。

圧延した結果 しばしば材料が波打ってしまう。圧延量の微小な違いが原因であろうと推測している。
どなたか、回避方法をご存知でしたら是非ご教示ください。

今後使用しながら改良を重ねて行くことになるであろう。

                Juli 2006

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