オルガン製作ほど多様な道具を必要とする職業はないでしょう。
その多くは市販の工具です。 市販の工具が具合が良くない場合、あるいは手に入らない場合には、自作するか市販のものを改造することになります。『注文しに行っている時間にできるようなものは、自分で作る』 ことです。
ここでは、そのような工具あるいは機械類を「工具のページ1」 「工具のページ2」 「工具のページ3」 「工具のページ4」 「工具のページ5」に続いて、いくつか公開いたします。
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延長チャック 狭く奥まったところに穴を穿る必要がある場合普通のドリルでは不可能な場合が多い。 そこで、10mmの鋼材の棒の先端をテーパーに削ってドリルチャックに合わせて取り付けた。 きれいに芯も出て使いやすそうなものができた。 現在行っている作業では120mmの隙間の400mm奥 にネジ穴を穿る必要がある。 April 06 |
Lamello ビスケット スイスのLamello(最近ではマキタ製品もある、ビスケットジョインター)は日本で知られる以前から使っている。
便利な方法である。 20年以上前から案はあったのであるが、今回ようやく圧縮ローラーを作った。 急いで作ったので軸受けも特別なことは全くしていない。 それでも、非常に便利な仕掛けになった。 回転ハンドルの取手はカリン材の挽き物,早速多用している。 Maerz 2006 |
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吊り具 オルガンにパイプを吊上げたりする時には木製トラスと木製滑車を使用していた。 従来は人力で引き揚げていた。 パイプが立つ台まで3-4m程度であれば人力でも問題無かった。 このトラス構造は宮崎県立芸術劇場のオルガン組立の際にも活躍している。 今回、Principal 16' のパイプを20m近く吊上げる必要が出てきた。人力ではこの高さまで引き上げることは困難(疲れても途中で休めない)なので電動ウィンチを取り付けるように改造することとした。 半年ほど調べ、構想を練っていましたが 適当な製品が見つかるまで待っているわけにもゆかないので、電動ウィンチリョービのWI-61Cをとにかく購入、購入後に解体観察して改造法を考えることにした。 このウィンチは小型な割に巻き上げ速度も強度も充分(直流直巻きモーターを使っているからであろうか)あり、重量も許せる範囲である。 構造、電気回路は容易に理解できた。 一部不明な点はリョービへ問い合わせたところ明快な回答があり気持ちよく先へ進むことができた。 ギヤボックスの中は見なかった(改造の必要がない、ガスケットの替えを持っていないので)が、設計も作りも良い。 主なウィンチ改造は 滑車を使い、所謂3本掛け(巻き上げ速度を落とすため、吊上げ能力を3倍にするため)とするので20mx3=60mのロープをドラムに巻き取らなければならない。
太いロープは使用できない。 この細いロープに適した滑車は市販品には見つからなかったのでベークライトから挽き出して作った。軸10φ、ボールベアリング軸受け。 この機会にトラスも補強して試験を行った。 最大吊荷重100Kg(オルガンの部品は1部材当たり100Kgを限度に設計している)として概算安全率5程度と見込んでいる。 このような設備を作り、改造をする時には絶対に間違いを起こすことができない。 いやが上にも慎重にならざるを得ない。 本当は、破壊するまでの試験をしてみたいのであるが、残念ながら我々にはその余裕は無い。 Maerz 2006 |
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上記のウィンチとトラスを使った作業も無事に終了しました。 充分に考えて、実験もして大丈夫と思っていても(特にこの高さでは)不安は付きまとっていました。 3.2mmのベクトランロープも、強度があることは判っているのですが、見た目には不安感を持ってしまいます。 地上で補助ロープを操作しているのは(有)日章装備の畑さん。 今回も一緒に作業をしていただきました。 実際には建築の天井が邪魔してしまうために、ウィンチを充分に高いところに取り付けることができませんでした。 15.Mai.2006 |
木工旋盤のチャック 以前から欲しかった木工旋盤用のスクロールチャック。 この旋盤用の既製品はありませんでした。 他の木工旋盤用のチャックを購入(チャックを作る意欲は無かった)、それにテーパーを作りネジ(規格外の1.6mmピッチ)を切り、取り付けました。 テーパーが工業規格品では無いため、合わせに手間がかかりました。 これで、この旋盤でできる作業の範囲はがぜん広がりました。 Maerz.06 |
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特大 ノギス オルガンを設置する現場の床面の形状を3角法で計る必要があった。 壁から円柱の一部が出ていてその部分だけ計測が出来なかったので急遽作った。 元は、建具屋さんが框の内法(うちのり)を計るために使う尺であった。 寸目盛りがついていた。 作りは単純であるが、伸縮する棒尺である。 これにクチバシを付け、メートル法の目盛りを付けて完成。 建築測量で1/10mm 単位の測定は必要がないので、副尺は付いていない。 滅多に必要ではないが、今回はこれで用が足りた。 17.Feb.06 |
400x300 Pixcel als Norm.