工具のページ 11

オルガン製作ほど多様な道具を必要とする職業はないでしょう。
その多くは市販の工具です。 市販の工具が具合が良くない場合、あるいは手に入らない場合には、自作するか市販のものを改造することになります。 

『注文しに行っている時間にできるようなものは、自分で作る』  ことです。

ここでは、そのような工具あるいは機械類を「工具のページ1」 「工具のページ2」 「工具のページ3」 「工具のページ4」 「工具のページ5」 「工具のページ6」 「工具のページ7」 「工具のページ8」 「工具のページ9」 「工具の頁10」 に続いて、いくつか公開いたします。

円錐錐 Konischer Bohrer

何年か前から、木管足を円錐形に作り、それがささる穴も円錐にするようにした。

木管が確実に固定されるだけでなく、木管を容易に取り出すことができる。
地震に遭っても回転することがないので調律のくるいが出ない。 など良いことずくめである。

Blockflöte製作家は 笛の内部をくり抜くドリルを自作すると聞いていたので、その方法を試してみた。

旋盤で鋼材から円錐を削り出し、ほぼ半分に切る、そして焼き入れ。
半分以下にしてはいけない、少し多めに残すのがこつのようだ。

下穴をあけてから、ボール盤で超低速で削って行くとぶれることもなく安定して円錐穴を作ることができた。

他にも応用はいろいろありそうである。

膠鍋 Leimtopf

接着に膠(にかわ)を使うことはしばしばある。湯煎鍋が必要。
市販の膠鍋もあるのではあるが、自作するつもりで準備をしていた。

マンションの金属くず置き場に適当な大きさの 電気天ぷら鍋 を見つけた。ヒーターの断線がなければ、膠鍋に利用可能と即思った。 ヒーターは正常。180℃のサーモスタットはいい加減な取付方であった。これを外し、かねてより準備してあった70℃のサーモスタットを熱伝導グリースを介して面接触になるように取付。電源コードを付けて外鍋は完成。

内鍋は銅板を銀鑞付けして製作。刷毛しごきには6mmの銅パイプを利用。外鍋からの蒸気が内鍋に入るように1.5mmの穴を3個あけてある。 ドーナツ型の耐水合板枠を作り内鍋を接着。
内鍋の蓋も銅板から鍛造、挽き物のつまみを付けて完成。
膠は常時55℃から60℃程度で良い状態を保っている。

外鍋の蒸気を導入しているので、蓋をしていれば表面に湯葉のような膜ができることもなく快適。

ついでに材料予熱台も製作。小物を膠で接着する時に便利にしている。
熱源は電気湯沸かしポットのヒーター。沸騰用の1Kwのヒーターと保温用の弱いヒーター(消費電力不明)が一体になっている。
ヒーターを銅板に固定、80℃のサーモスタットと105℃の温度フューズに加えてスイッチとコンセントと電源コードを取付。スイッチは沸騰ヒーター(急いで加熱する場合)と保温用ヒーター(通常使用)を切り替える。コンセントは膠鍋に接続するため。


熱を無駄にしないためにキルティングでカバーを縫製した。

下段の画像は銅板の裏側。長円形の物がヒーター。中央にサーモスタットを固定。箱内はグラスウールで断熱。
箱は実は母の骨壺が入っていた桐箱の底部分。4隅もあられ組に作ってあったので有効利用、無駄にすることはない。

購入したのはサーモスタットのみ、他はすべて廃品利用。

                               20.Dez.2016

 

 

 

 

 

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